アーティスト、エンジニア、デザイナー、伝統工芸職人、建築家、研究者など約60名が参加した今回のKAHD。10月24日~25日の茨城での2日間では、参加者が県北地域を実際に訪れ、県北の自然・産業・文化・歴史などを知ることからアイデアを発想してチーム作りを行いました。それから2週間後の11月7日~8日には、東京に場所を移して、アイデアを作品として形にするためのプロトタイピングと審査員へのプレゼンテーションが行われました。
11月7日(土)の早朝、東京渋谷のロフトワークにKAHD参加者が再び集結しました。茨城県北でのアイディエーションからあっという間の2週間。青木氏、林によるオープニングで、改めて今回のKAHDでの審査のポイントが3つ説明されました。ひとつ目は茨城県北芸術祭で展示するというテーマに対するコンセプトとの親和性。2つ目は予算やオペレーションも含めたアイデアの実現性。3つ目は予想を超えた驚きや感動をもたらすマジックがあるかです。
そのあとすぐに、2つのフロアに13チームが分かれて、プロトタイピングがスタートしました。事前に準備した素材を持ち込んで組み立て始めるチーム、PCでプログラミングやデータ処理を進めるチーム、ホワイトボードに書き込んだ課題をひとつずつクリアしていくチーム、キッチンを使って何やら実験を始めるチーム。それぞれが、目的に向かって一気に動き出します。
Day1とDay2でプログラムが細かく設定されていたのとは異なり、プロトタイピングの2日間は、Day4の16時半に設定された審査員へのプレゼンテーションまで、時間の使い方はまったくの自由です。中には、この日も茨城に行って現地で追加のリサーチや素材収集をしに向かったチームもありました。
Day3は19時に終了が告げられますが、希望するチームは残ってそのまま作業することができます。中には徹夜で作業をしたり、夜遅くなってから茨城から戻ってきたチームもありました。
Day4の夜には最終発表を控え、チームの緊張感は徐々に上がっていきます。最終発表では、KAHDの審査を務める4名の審査員--KENPOKU Art 2016 茨城県北芸術祭の総合ディレクターを務める南條 史生氏、同じく芸術祭のクリエイティブディレクターを務める谷川 じゅんじ氏、ライゾマティクスの齋藤 精一氏、『WIRED』日本版 編集長 若林 恵氏--が各チームのプレゼンテーションを真剣に聞いて回りました。
19時にはすべてのチームがプレゼンテーションを終え、各地から集った個々の才能がアイデアを出し合い、チームを作って、アート作品のプロトタイプを制作するというKAHDの実験的な試みは終了。絶え間ない試行錯誤とディスカッションを繰り返し、ハッカソンならではの濃密な時間を過ごす中で、参加者たちの創造性が大いに発揮された4日間となりました。この中からどの作品が選ばれるのか、後日行われる審査の結果が待たれます。アフターパーティでは、解放感と達成感に満ちた参加者たちの充実した笑顔が印象的でした。